重症患者の治療への活用にも期待
新型コロナウイルスに感染した経験を持つ授乳中の女性は、ウイルスを中和する抗体を最大10ヵ月にわたって母乳中に分泌し続けるというデータが発表された。
研究者らは、こうした中和抗体が乳児を感染から防ぐだけでなく、重症患者への治療に活用できると考えている。
幼い子供は、大人や基礎疾患のある人に比べ、コロナ感染後の重症化リスクは低い。だが、1歳未満の乳児のおよそ10人に1人は感染すると病院での治療が必要になる。
母乳に含まれる抗体は、ワクチンによって引き起こされ、血液中に多く含まれる「免疫グロブリンG(IgG抗体)」とは多少異なる。これらの抗体も母乳に含まれているが、主なものは分泌型「免疫グロブリンA(IgA抗体)」で、乳児の気管や腸内の粘膜に付着し、ウイルスやバクテリアの侵入を防ぐ働きをする。
これまでの研究で、新型コロナウイルス(Sars-CoV-2)に対する抗体が母乳から検出されることはわかっていたが、それらがウイルスを中和するかどうかや、ウイルスに感染した後どれくらいの間、女性がその抗体を母乳中に分泌し続けるかは明らかではなかった。
パウエルのチームは、新型コロナから回復した75人の女性の母乳サンプルを採り、その88%にIgA抗体が含まれていることを確認した。ほとんどの場合、これらの抗体はSars-CoV-2を中和する能力を持つ。それはつまり感染を阻止できるということだ。
加えて、女性たちは最大10ヵ月の間、その抗体の分泌を続けることもわかった。「授乳を続けていれば、母乳のなかにはこれらの抗体がまだ含まれているということです」と、9月21日、母乳育児に関する国際シンポジウムで研究結果を発表したパウエルは語った。
ワクチン接種による抗体は?
さらに、彼女のチームはファイザー社、モデルナ社、ジョンソン・エンド・ジョンソン社のワクチン接種を受けた、50人の女性の母乳に含まれる抗体を調査した。
その結果、モデルナ製ワクチンを打った女性全員と、ファイザー製ワクチンを打った女性の87%が、母乳中に新型コロナウイルスに対応するIgG抗体が含まれていることがわかった。だが、IgA抗体を含んでいた女性はそれぞれ71%と51%だったという。
ジョンソン・エンド・ジョンソン製ワクチンを打った女性の母乳については、38%がIgG抗体を含んでおり、IgA抗体を含んでいたのは23%に過ぎなかった。
パウエルはこう話す。
パウエルらはいま、アストラゼネカ社のワクチンによって引き起こされる母乳中の抗体について研究を続けている。
からの記事と詳細 ( コロナ感染後の「母乳抗体」は10ヵ月間も持続することが明らかに | ワクチンの種類によって母乳抗体保有率に差も - courrier.jp )
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