開業から1年。「仙台いも工房りるぽて」の店舗は仙台市若林区の住宅街に溶け込んでいた。商品のスイートポテトは、東日本大震災で津波の被害を受けた区内の畑で育てたサツマイモも使う▼運営するのは一般社団法人「ReRoots(リルーツ)」。市内の大学生ボランティアが震災直後から若林区の沿岸部で農業支援に取り組む。その一つが、2013年に始まった「おいもプロジェクト」。今年は30組の親子が参加し、地元農家との交流を楽しみながら苗を植えた▼指導役の農家、商品化に向けて技術を伝授してくれた専門店。「人のつながりで開店できた」とリルーツの広瀬剛史代表(47)。コロナ禍の影響を受けたが、販売先は店舗以外にも広がる▼広瀬さんは、人の手が加わった風景の美しさが農村の魅力だと言い、手を入れ続けることを「手作る」と表現する。農村の風景も文化も手作るの象徴だが、沿岸部は震災で高齢化と過疎化が進み、担い手不足が課題になる▼リルーツは「ひなびた持続する農村」を目指し、就農希望者には農業技術や農村のしきたりも伝える計画だ。スイートポテトは沿岸部への関心を高める役割を担う。商品化までの歩みと今後の地域を思いながら口にすると、優しい味わいが穏やかな農村風景と重なった。(2021・7・1)
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