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Wednesday, May 12, 2021

新型コロナウイルスに対する免疫は8カ月以上持続することを示す研究報告が続々と発表される - GIGAZINE


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する免疫の持続期間に関する研究は数多く行われており、これまで「数週間しか続かない」「少なくとも8カ月は持続する」「長期間持続し、変異株にも対応可能」といった異なる研究結果が報告されてきました。そんな中、2020年1月にアメリカ国立衛生研究所(NIH)が、2021年5月にはイタリア国立衛生研究所が、新型コロナウイルスに対する免疫が長期間持続することを示す研究報告を発表しています。

Immunological memory to SARS-CoV-2 assessed for up to 8 months after infection - PubMed
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33408181/


Lasting immunity found after recovery from COVID-19 | National Institutes of Health (NIH)
https://www.nih.gov/news-events/nih-research-matters/lasting-immunity-found-after-recovery-covid-19

Neutralizing antibody responses to SARS-CoV-2 in symptomatic COVID-19 is persistent and critical for survival | Nature Communications
https://www.nature.com/articles/s41467-021-22958-8

Covid 19 Antibodies Last 8 Months After Infection: Study
https://www.ndtv.com/world-news/covid-19-antibodies-last-8-months-after-infection-study-2439706

2020年4月~5月に6万人を超える人々に対して、新型コロナウイルスのIgG抗体の血清有病率調査がスペインで実施されました。調査の結果、抗体を持っていると診断された人の14%が数週間か数カ月後には、抗体を失ったことが判明。この結果から、新型コロナウイルスに対する免疫が数週間から数カ月で失われてしまう可能性が示されていました。

「新型コロナウイルスの免疫は数週間しか続かない」という新たな研究結果 - GIGAZINE


これに対して、2021年1月には、抗体の迅速な産生に関わる免疫細胞である「メモリーB細胞」に着目した研究が発表されました。この研究では新型コロナウイルスに感染した87人の患者に対して感染から1.3カ月後と6.2カ月後に血液検査を実施。その結果、感染から6.2カ月後には、1.3カ月後と比べて抗体レベルが5分の1まで低下したものの、メモリーB細胞の数は減少していないことが確認されました。さらに、メモリーB細胞が変異株にも反応することが明らかになっており、一度免疫を獲得した人は、新型コロナウイルスに感染しても迅速に抗体を産生できることが期待されています。

新型コロナの免疫は衰えるどころか「進化し続ける」可能性、変異株にも対応か - GIGAZINE


NIHも2021年1月に新型コロナウイルスの免疫に関する研究結果を発表。この研究は、COVID-19から回復した患者約50人に対して8カ月にわたる複数回の採血を行い、新型コロナウイルスに対する抗体に加えて、メモリーB細胞やT細胞といった免疫細胞に着目した調査を行いました。

調査の結果、新型コロナウイルスに対する抗体レベルは、8カ月間でわずかに低下したとのこと。これに対してメモリーB細胞は時間と共に増加。さらにCOVID-19の症状発現から6カ月経過した時点で、患者の92%がヘルパーT細胞前駆細胞であるCD4+T細胞を持ち、半数の患者がキラーT細胞の前駆体であるCD8+T細胞を持ち続けていることが判明しました。

加えて、95%の患者が新型コロナウイルスへの感染から8カ月経過した時点で、新型コロナウイルスへの免疫に関わるIgA抗体・IgG抗体・メモリーB細胞・ヘルパーT細胞・キラーT細胞の5種類の免疫系のうち少なくとも3種類を持ち続けていたことも明らかになっています。


NIHは「この調査結果は、新型コロナウイルスワクチンを接種した人々が、ワクチン接種後に長期間にわたって新型コロナウイルスに対する免疫を保つことができる可能性を示しました」と述べています。


さらに、2021年5月11日付けで、イタリア国立衛生研究所が162人のCOVID-19患者を対象にした研究論文をNature Communicationsで発表しました。研究チームは論文において「新型コロナウイルスの抗体は、時間の経過と共に減少するものの、8カ月以上血中に残り続ける」という結論を示しています。

また、この研究で調査対象となった患者の約57%は高血圧や糖尿病などの基礎疾患を抱えていたとのことで、研究チームは「患者の年齢や、基礎疾患の有無にかかわらず、新型コロナウイルスに対する免疫は長期間持続します」とも述べています。

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